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ケンヂのきもち

まずは自分を知らなきゃね~

ケンヂの物語   少年時代 後編 初稿(後編7)完

ケンヂの物語初稿

(後編7)

 

 

 

 (つづき)

新しい引越し先は埋立地に新しく出来た町で、まだ家がまばらにしか建っていなかった。ケンヂの家から学校まで50m位しか離れていなかった。転校先の学校も4年前に出来たばかりのまだ新しい学校だった。クラスは6組までしかなく全校生徒数も前の中学の半分以下だった。

初めての転校だったので初日の自己紹介は緊張した。

新しい学校はぜんぜん荒れてなく、ツッパッている感じの生徒もクラスに男女1人ずつ位しか見当たらなかった。

自己紹介を終えて席に着くと前に座っていた女の子が振り返り

「わたしんち、ケンヂくんの家の裏のYだよ」と言った。

Yさんは真っ黒に日に焼けて活発そうな子だった。

朝礼が終わるとこのクラスで唯一髪をリーゼントにしている『ケニヤ』が親しげに話しかけてきた。ケニヤはツッパった恰好はしているが、ケンヂより5~6センチは背が低く、痩せ型でとても迫力が無かった。

なんだか子供が髪型と制服だけ決めている感じで可愛らしく見えたが、

休憩が終わり席に戻る前に「なんか問題があったら、おれにいいな」と男気を見せて戻っていった。

 

初日の2時限目の数学の時間、いきなり抜き打ちのテストがあった。

ケンヂはこの学校の勉強の進度がわからなかったのであせったが、前の中学ですでに習っていたところだった。

数学は得意教科だったので出来てホッとした。

翌日の数学の時間、答案を返す前に先生が笑顔で言った。

「100点が2人います。1人はKくん、そしてもう1人は・・・転校して来たケンヂくん」

ケンヂは自信はあったが、100点とは思わなかった。

みんなが「おおー」と言い一斉にケンヂを見たので、照れて赤くなった。

その日の休憩時間に職員室に呼ばれた。

大勢の先生たちが集まってきていた。

「〇〇中で3位の生徒が転校してくると言うから期待してたんだよ」と数学の先生が言った。

「君が〇〇ケンヂくんか」

多くの学年の先生が声を掛けてきたので、緊張しながら「たいしたこと無いです・・・まぐれです」と言って下を向いた。

やばいことに多くの先生に期待とプレッシャーを与えられ、新しい学校生活はスタートした。

 

ケンヂが心配の通り、社会と英語は前の学校より大分進んでいた。前の学校は荒れていたので、授業を中断する事が多く、転校前に担任の先生も進度を心配してくれていた。

社会は鎌倉時代中期の『元寇』までしか習っていなかったのに『明治維新』まで進んでいた。600年という年月が一夜にしてぶっ飛んでしまったのだ。また社会の授業はとにかく何もしゃべらず黒板に先生が書いたことを皆、ノートに写すだけの写経のような授業だった。教科書すら開かない一番受けたくない授業だった。そもそもケンヂは字が綺麗ではないのだが、先生が黒板に書くスピードが早く、ますます殴り書きのような字になってしまい、自ら後で読み返すのが困難だった。

もともと苦手だった英語は教科書も違い、教科書が届くまで隣の女の子に見せてもらいながら授業を受けた。かなり進んでいて何をやってるのかさえわからなかった。

9月28日に転校し10月の最初の週に中間テストがあった。

兎に角社会と英語は散々だった・・・

数学100点、理科96点、国語90点、社会14点、英語22点

社会も英語も10段階で3の赤点がついていた。

以前の学校では評価が5段階で、どちらも4だったので成績はどうすることも出来ないくらい下がっていた。

また職員室に呼ばれた。担任は進度の違いを理解し

一言「かわいそうだったね。これからがんばれ」と言った。

簡単にがんばれというが、ケンヂはもともと授業がすべてであり、家では試験前に復習で習ったとこをを読み返したり、間違えた問題をもう一度理解する位しか勉強をやらなかった。問題集や参考書なんかも持っていなかった。

ましてや新しい学校で、皆の名前を覚えたり、孤立する前に友だちを作ることに必死だった。もう孤立は嫌だった。

わからないのに受ける社会と英語の授業は頭に入ってこなかった。

嫌いな先生の授業は受けるのすら嫌だった。

12月の期末テストは赤点はやっとのことまのがれて社会4、英語5だった・・

テストの総合ではクラス順位で3番だった。数学、理科、国語の貯金のおかげだった。

倍以上の生徒数の学校で学年3位だったのに、半分の人数でクラス3位にまで成績が下がっていた。

 

最初に出来た友達は『中くん』と『木野くん』だった。ケンジの家は新しく出来た学区であり、近所には転校してきた子や集合住宅に住んでいた数人の子しかいなかった。他の小学校の学区から通っている生徒がほとんどで皆1キロ以上離れた山の上に住んでいた。中くんは歩いて10分位の集合住宅に住んでいた。木野くんは山のふもとに住んでいて、歩いて30分位はなれたところに住んでいた。

最初以前テニス部だったので、テニス部だった中くんから誘われた。

ケンヂはもう随分テニスをしていなかったし、クラブ活動も後半年ちょっとしかないし、武道系のクラブも無かったので体育会系クラブには入らず、木野くんの誘いに乗り、美術部と放送部に掛け持ちで入ることにした。絵を描くのは小学生の頃まんが家志望だったので好きだったし、放送部は全体朝礼の時に放送室にいてサボれるので楽だったからだ。

中くんは放課後クラブで遊べなかった。美術部は自由参加のようなクラブだったのでたまに参加して、放課後はほとんど木野くんと遊んだ。

中くんは木野くんのことを自分より下に見下していたので、この2人は性格がぜんぜん合わなかった。

中くんも木野くんもケンヂより背が低くガリガリに痩せていた。

中くんは真面目で短気で神経質な性格。自分の意見は曲げない性格だった。木野くんは人当たりは柔らかいが、気は強くええかっこしだった。なかなかハンサムでその頃はやっていたポップスバンド、『チェッカーズ』の藤井フミヤの髪型をまねていて、いつも目に入りそうな前髪の髪先をいじっていた。その髪形のせいかよく他校の生徒に絡まれていた。ケンカは弱く、ケンヂはたまにカラテの基本や相手の攻撃の捌き方を教えてあげた。その頃の話題はもっぱら、ブルース・リージャッキー・チェンの映画の話であったり、クラスの女の子の話やエッチな話しだった。ケンヂはうぶで、当時女の子のことを何も知らなかったので興味深深で木野くんの話を聞いたりエッチな本を見せてもらったりした。学校での性教育も前の学校ではまだやってなく、新しい学校では終わっていたのだ。

 

そのあと、木野くんと仲が良かった『益井くん』とすぐに仲良くなった。

益井くんは将来ボクサーになりたいといって、いつも自己流のシャドーボクシングをしていた。益井くんのお父さんはカラテ三段で、家にサウンドバックが吊るしてあった。ケンヂと木野くんはよく益井くんの家に行き、サウンドバックを叩かせて貰った。

昼休憩や放課後、益井くんの持ってきたボクシンググローブをつけて、カラテ対ボクシングの軽いスパーリングをやった。ボクシング特有のフットワークの方法や、カラテと違うパンチの出し方に慣れるまでは結構パンチをもらったが、動きを益井くんからすぐに盗んだ。ボクシングの動きを体で覚えた後は、益井くんはケンジの敵ではなくなった。

木野くんは体が柔らかく、何をしないでも180度開脚が出来、蹴り方を教えるとすぐに上手になった。ただ蹴りに頼りすぎるのとパワーが無いので相手にならない。すぐにスパーリングには参加しなくなった。

少年たちのその頃は女の子が綺麗でありたいと思うのと同じで、多くの男の子は強くなりたいと思っていた。毎朝10キロ以上走り、軽い筋トレも始めた。

その当時のケンヂの部屋には『ブルース・リー』のポスターとその頃テレビで映画を見て一目ぼれした『ソフィーマルソー』の大きなポスターが貼ってあった。



その頃、木野くんのお母さんが、脳卒中で亡くなった。亡くなる前の晩、木野くんとお母さんはケンカしていて、木野くんが「お前なんか死ね!」とお母さんに悪態をついたら、翌朝冷たくなっていたそうだ・・・

木野くんは立ち直れない位落ち込んでいた。

後悔しても間に合わない事もある。

後悔した後でないと気づかない事もある。

ケンヂがいくら慰めても何も受付なかった・・・

時間しか解決出来ないと思った・・・

 


中2の冬休みに小学校時代からの友だち、オッカンが家に泊まりに来た。以前住んでいた辺りに、『極真カラテ』の道場が出来、オッカンは中2の初めから通っていた。極真カラテはマンガやアニメの『空手バカ一代』や『アントニオ猪木』と異種格闘技戦をした『熊殺しのウイリー』の『ウイリー・ウイリアムス』のやっている実践カラテの流派でケンヂたちの憧れの流派だった。オッカンはカラテを習い強くなっていて、ケンヂを何度も誘った。

 

中学3年になるとクラス替えで中くん、木野くん、益井くんとは違うクラスになった。木野くんとは部活で一緒だった。

少しだけ元気になっていた。

他のクラスから3年の時に美術部に入ってきた『ダッピくん』と仲良くなった。ダッピくんは繊細なタッチの絵を描き、明らかにケンヂより上手だった。彼も格闘技好きで、話があった。

 

どうしても極真カラテを習いに行きたかったが、(兄は3000円小遣いを貰っていたが)相変わらず小遣いを貰っていなかったケンヂは親に相談した。

「習いたいのならアルバイトをしろ。ただし学校の成績は落とすな」と即答で条件付で帰ってきた。

すぐにケンヂは朝刊の新聞配達を始めた。

学校ではアルバイトはもちろん禁止だったが、ケンヂの親は学生の頃からの社会経験は悪い事ではないという考えだった。中3からアルバイトを始めるなんて普通ではありえないことだったが、『勉強の出来る兄と勉強の出来ない弟』という家庭内での図式、ケンヂは見限られていたし、自分の会社の跡取にするつもりの長男と違い、今後自分で社会に出て生きていかなければならない次男に何も期待していなかったからだった。こういった家庭内での差別はずっと前、小学校の頃から変わらなかった。

 

朝3時半に起き、4時から1時間新聞配達をした。同じクラスの『ガバくん』も同じ営業所で新聞を配っていた。ガバくんは5人兄弟の長男で新聞奨学生の制度を使い自分の学費を出して家計負担を軽くしていたのだ。がんばるガバくんをみて奮起した。

一日も休まず、雨の日も雪の日も自転車で猛スピードで駆け抜け、山丸ごと一山分、坂道を配って回った。

ガバくんが足を捻挫した時は、一週間ガバくんの配達分も他の人と半分ずつ引き受けた。ケンヂは一番キツイ山の配達だったが、一番早く配り終えて営業所に戻っていたので、他の人が欠勤の時なんかも引き受けて配った。いつも所長には感謝されていて、御礼の電話を親にしてくれたり、給料もはずんで貰った。

配り終わるといつも出してくれるコーヒーと御菓子を食べて、タダでくれる新聞を1部貰い家に帰った。

 

最初の給料日の翌日、極真カラテの道場に1人で入門に行った。

道着代と月謝を払いあまったお金は本代や映画代に使うことにした。

道場までの18キロの道のりを週三回自転車で通った。稽古は18時から20時までだった。稽古が終わり家に帰ると21時前だった。風呂に入り、夕食を食べると22時位だった。

成績を落とさないという条件を守るため、参考書や問題集を持っていないケンヂは、兄が中学時代からやっていた通信教育の『進研ゼミ』のテキストを貰った。兄は中学1年から高校2年まで、進研ゼミの全国模擬試験や、学校で受けに行く全国模擬試験でかなりの確率で1位という成績だった。テキストには兄が書いた答えや式が書いてあったので中学1年のテキストを本を読むように読んでいくことにした。わからなかったところや間違えたところは赤ペンでしるしをつけ、1か月分終わったあとにもう一度解いてみた。1年分終わったら、1ヶ月分終わったあと間違えたところをもう一度勉強し、2年生の教材に入った。

勉強時間はカラテのない日は20時から24時まで、カラテのある日は22時から24時まで頑張った。土曜日の午後は友だちと遊び、日曜日は勉強はしないで遊んだり本を読んだり、映画を1人で見に行ったりして息抜きをした。勉強は小さい音でラジオを聴きながらのナガラ勉強だった。ケンヂには静まり返った部屋での勉強より向いていたのだった。睡眠時間はこの頃から3時間だった。たまに勉強をしながら、疲れて寝てしまうこともあったけど受験までこの生活を続けた。

 

夏休みは午前中は勉強をして午後は本を読んだり映画を見に行ったりした。映画館のある市内中心部までは10キロちょっとあったけど、自転車でいっていた。

 

夏休みの暑い日、自転車で映画館に向かう途中、車道に血がついているのが見えた。

まだ血は乾いてなかったので、なんだろう?と思い辺りを見回したら歩道の脇に背中の羽の部分が真っ赤に染まっている鳩がいた。鳩はまだ生きていて逃げようとしたのでケンヂはバタついて怪我が酷くならないように優しく抱え込み傷口を見てみた。

右の羽の付け根の辺りを怪我しているようだった。ケンヂは映画のチケットも買っていてもうバイト代も底を付いていたのでどうしていいのかわからずに家につれて帰った。鳩を抱えたまま自転車では帰れないので、自転車はその場に置いたままで2キロ程の道を走って帰った。

家に帰ると兄がいたので相談した。

汗だくで訴えるケンヂと鳩をみて「とりあえず動物病院を探そう」と言い、電話帳で近くの病院を探してくれた。

自転車で5キロ程の所にある病院に電話を掛けてみた。

ケンヂは鳩がかわいそうで、涙声になりながら先生に事情を話した。

「見ないことにはわからないから病院に連れてきなさい。程度が軽い場合や見るだけならお金はいらないから」と言ってくれた。「治療にお金が必要な時はその時に教えてあげる」というので連れて行くことにした。

ケンヂはケンカでは滅多に泣かなかったが、涙腺が弱く、悲しい出来事があったり、悲しい映画やテレビドラマを見たりしたらすぐにボロボロ泣いてしまう・・・

「どうしても鳩を助けてあげたい」と、泣きながらいつもは頭を下げない兄に頭を下げお願いをした。

兄はすこし考えて「お年玉で貯金してないお金が1万円あるから、1万円以内で済む様なら貸してあげる。」と言ってくれた。

「その代わり分割でいいから返せよ・・・」と付け加えた。

いつもならこの言葉にケンヂはカチンと来たのだろうが、このときだけはそれでも真底、兄の行為に感謝して涙が止まらなくなった・・・

兄は包帯で羽をバタつかせないようにグルグル巻きにして箱にタオルを敷き、鳩を入れて蓋を閉じた。

兄は自分の自転車にケンヂを乗せたことはなかったが、この時だけは2人乗りでケンヂが自転車を置いていた場所まで連れて行ってくれ、病院にも一緒に着いて来てくれた。

 

先生はすぐに診察して下さり、涙で真っ赤な目のケンヂと一緒にいる兄に、鳩の羽の部分を広げ付け根の部分を見せた。

「右の羽の付け根の筋繊維が割けているんだ。ここまで割けているとつなぎ合わせられないし治療する事ができないんだ。本当に可愛そうで助けてあげたいんだけど、傷が酷すぎて出来ないんだよ・・・」と優しい声で諭すように話した。

ケンヂは絶望の中、また涙がこぼれ始めた・・・

「君は優しい子だね。この鳩は恐らく長くは生きれないと思うけど、ひょっとしたら長生きするかもしれない。運命と同じだよ。きっと君たちの事を感謝してると思うよ」と言ってくれた。

 

ケンヂ達は病院を出て、どうするか相談した。

ケンヂは「どうせ死ぬのなら、仲間がいるところに連れて行ってあげたい」と兄にいい、鳩が沢山いるし餌も自分では取れないだろうから、餌をもらえる平和公園に連れて行ってあげることにした。平和公園までの道のり、2人は黙ったままゆっくり自転車を走らせた。5キロ程先の平和公園に着くまで涙が止まらなかった。

 

平和公園に着くと何百羽もの鳩がいた。

ケンヂは鳩の包帯をはずし、そっと逃がした・・・

「元気で生きろよ・・・」ひょっとしたら長く生きるかも・・・と言う先生の言葉を信じたかった。

その時だった・・・よろけながら歩く鳩めがけ、大勢の鳩が群がって爪やクチバシで攻撃し始めたのだった。ケンヂ達はあわてて近寄り、他の鳩を遠ざけた・・・

が遅すぎた・・・

怪我をしている鳩は体のあちこちから血を流し、血まみれになっていた・・・

ケンヂは泣きながら鳩を抱え芝生の上に座った。

1時間位ケンヂと兄は鳩が完全に動かなくなるまで見ていた。

涙は止まらなかった。兄も泣いていた・・・

そんな兄弟を見て、鳩に餌をあげていたおじさんが声を掛けてきた。

事情を話すと

「鳩は平和の象徴のように言われているけど、本来好戦的な鳥なんだよ。よそ者が来たら攻撃するんだよ」とゆっくりと諭すように言った。

ケンヂ達は勝手に鳩のキモチを考え判断し、その結果鳩を殺してしまったのだった。

自分の浅さかさと知識の無さに嫌気がさした・・・

ケンヂ達は動かなくなった鳩を平和公園内の脇の方で、手で穴を掘り埋めてあげた。爪から血が出てきてたけど、心の方が痛かった。

泣きながら鳩に謝った・・・

 

無言で2人は家に帰った・・・

この日から、兄が高校を卒業して県外の大学に行くために家を出るまで、喧嘩することは無かった。

鳩を殺してしまったけど、この時は本当に兄には感謝していたんだ・・・

 

 

 

季節は変わり、受験のシーズンがやって来た。

当時の広島県の受験制度は、国立高校は別として、公立高校1校、私立校は受験日が2回に振り分けられていて、2校しか受けることが出来なかった。ケンヂは兄やオッカンたちの国立高校と、公立は親の勧めで受ける気がしなかった商業高校、私立は中堅の2校を受験した。

国立高校は落ち、公立と私立2校には合格した。商業高校では大学受験が難しいし、行く気がないと親を説得して、特待生で合格した私立高校に行くことになった。特待生といっても2番手で1番手の全額授業料免除ではなく、半額負担だったが公立高校より安かった。1番手の子が入学しなければ全額負担の権利は貰えるらしかった・・・が一番手の子はその権利を行使した・・・

 

中学時代のターニングポイントは、受験の後あっという間に訪れた。

受験が終わった日、突然、今までと違う世界が前に広がっている気がした。

其処からはいつものように目まぐるしく早い刻が流れた・・・

今回のターニングポイントの後の短い期間で、ちょっとだけ大人になった気がした・・・沢山の楽しい思い出、辛かった思い出、甘酸っぱい思い出

・・・傷をしっかり胸に刻み込み、少年の日に別れを告げた・・・

 

 

青年時代の始まりを告げる高校の入学式の後、クラスわけがあり、その後特待生の2人は職員室呼ばれた。3番手まで免除の権利があったのだが、3番手の子はこの学校には進学しなかったようだった。特待生の説明と家で書き込む用紙の入った袋を貰った。

職員室で会った特待1番の子は、なんと驚いたことに中学時代の同級生の貧乏な肉屋の息子、アキラくんだった・・・

            

 

 

こうしてケンヂの波乱万丈な少年時代は終わりの時を迎え、ケンヂは青年になっていった・・・・

 

 

                              (少年時代  完)